京友禅技法の紹介
未来に渡す京友禅4つの技。
四季の自然や日本の精神の根幹をなす美意識を鮮やかに染める京友禅。その画期的な技法には、大きく分けて4つの種類があり、それぞれが切磋琢磨して、様々な友禅染めが製作されています。この4つの技こそが、京友禅が未来に繋いでいかなくてはならない大切な宝。日本の宝であり、ひいては世界の宝です。
1 手描き染
三百年以上の歴史を今日まで受け継いできた「手描き染」。一枚の着物が完成するまでにおよそ二十の工程が。絞り加工などを施すと、完成までに一年もの歳月を要することもあります。
図案から下絵、挿し友禅など、丁寧な手仕事は、それぞれに専門の業者・職人を配す完全分業制をとり、いずれの職人にも高い技術が求められます。
ゴム糊を絞り出して下絵の通りに描くのを「糸目」といい、挿し友禅の際、染料が他ににじまないよう防染の役目をします。
下絵は本青花の汁を使い、仮絵羽した生地に直接描いていきます。
色挿しの工程では、数十種の染料が使われ、筆や刷毛で色を着けていきます。
金加工には、金くくり(写真)、摺り箔、押し箔、砂子などの技術があります。
2 型染
その名の通り、型紙を使って染める「型染」。型紙は色の数だけ必要で、時にはぼかしも入るため、1枚の着物に数十枚から数百枚も用いられます。板場では、摺り、霧吹き染めなど様々な技法が用いられ、そのすべてで巧みな技が駆使されます。
一人の職人は数十枚の型紙を担当、同じ色の濃度に染める技が求められるなど、熟練の技なしには完成できない仕事です。
板場での捺染は、摺り、ピース(霧吹き染め)など様々な技法が。写真はぼかしを施しているところ。専用のぼかし刷毛(丸刷毛)を巧みに使い分け濃淡を着けていきます。
型染は長い一枚板の上に生地を張って染めることから、「板場友禅」とも呼ばれます。板の長さは約6mで、表裏で着物1枚分です。
引き染めは、生地の両端を張り木で引っぱり、等間隔に伸子を打ち、生地をピンと伸ばして行われます。
染めムラを出さないよう、素早く刷毛で生地を染めていきます。季節による温度や湿度による違いに細心の注意をはらいます。
3 機械捺染
手工で行われる模様染めを機械で行うことで、文様を型継ぎなく均一に染められる「機械捺染」。
彫刻が施されたロール(捺染型)を色の数だけ用意。図案通りに染まるよう型を合わせてセットします。この合わせは色数が多いほど難しく、高い技術が必要となります。機械で染めるといっても、どの工程にも人による細心の注意がはらわれ、職人の目が光っています。
ここはこの色、この部分はこの色、と決められた配色通りに染まるようにロールをセット。配色ミスがないか、何度も試し刷りをします。
ロールは銅製で重さ10〜15kg。1色一本必要です。専門業者に依頼し図案通りの彫刻を施します。
機械の中に入っていく生地の伸び縮みを補正しながら、常に柄合わせをチェックします。
輪転機の要領で生地は染められていきます。小紋染めの場合、ロールが一回転するごとに同じ柄が連続して現れます。
4 デジタル染
大型プリンターを使って染められる「デジタル染」。色を挿すのは、筆の代わりにグラフィックのペンを使用。花ならば花びら一枚一枚を丁寧に人の手で描き、プリントのための設定もグラフィック上で行います。 蒸し、水洗いによる発色を促したあとの金加工は、板場の職人のみせどころ。ベテランの職人にしかできない仕事とIT技術が見事に融合しています。
染めはプリンターにより行われます。一般にインクジェットといわれますがインクではなく染料が使われます。
図案をグラフィック上に取り込み、糸目(図案の線)を抜き出し、色を着けていきます。色見本番号を打ち込んで彩色します。
色見本
板場では金加工を施します。蒸し、水洗いを経てから型を合わすのはとても難しく、職人の腕の見せどころです。
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